【京都 vs 千葉】エスクデロ 競飛王は昇格へのラストピースとなれるか

2019年11月15日(金)


眠れる獅子の目覚めとなるのか。敵地での第40節・琉球戦、スコアレスで試合が進む中、勝点3がなんとしても必要だった京都は65分にこの男を投入した。エスクデロ競飛王。今季ここまで期待に応えていられないアタッカーは、そのうっぷんを晴らすかのように躍動する。
70分に中盤からボックス内へのスルーパスをとおしてPK獲得の起点となると、その7分後にはサイド深くへのパスで追加点をお膳立て。さらに3分後にも自陣からの縦パスに対して、相手選手のマークを受けながらもダイレクトパスで黒木恭平のインナーラップを引き出して、小屋松知哉のダメ押し点に貢献している。試合後には、遠く沖縄まで駆けつけたサポーターの下へ挨拶へ行った際に涙を流すという一幕もあった。

新体制となった今季はチームスタイルが180度変わった。「これまで僕がやってきていないサッカー」という戦術や役割に、なかなか適応できずにいた。琉球戦の前の時点で9試合無得点という数字は到底納得できるものではない。夏にはピッチ外の騒動で話題を集めてしまうこともあった。苦しいシーズン。本人も「ここまで試合に出れないシーズンはなかった」と打ち明けている。そんな状況で、できることは何なのか。コンディションを整えて、練習からアピールしていくしかない。これまでと同様に練習場のピッチで声を出して雰囲気を作ったり、チームメイトや自分にハッパをかけてきた。
「J1とJ2では本当にレベルが違う。そのJ1へ行ける可能性がある素晴らしいシーズンを京都は過ごしています。練習から出ているものは試合にも影響する。その日の最初のトラップやパスから練習の質は一気に変わる。自分もそうだけど、チームメイトに対しても声や行動で表現しようとはしています」

それでも、ある程度メンバーが固まってきたチームには、なかなか食い込めない。悔しさはあっただろう。夏から秋に差し掛かる時に、こんな話もしていた。
「自分の状況を悪くしてしまったのはわかっている。今年は最初からサッカーに集中できない状況もあった。だけど、僕はサッカーが好きなので。応援してくれている人には、ピッチでしか恩返しできないんです」

プレーについては小屋松が「ためを作れる、身体を使ってボールを運んでくれるし、琉球戦では流れを変えてくれた」と話すように、切り札となれる要素は持ち合わせている。エスクデロも「スタメン争いも大事だけど、途中から出た選手のプレーで試合の流れは変わる」と現状を冷静に受け止めている。
味方も敵も疲れてきた状況で、五分五分のボールをマイボールにする、そこから前を向ければチームの大きな助けとなる。前線でのポストワークは一美和成も行っているが、相手からの警戒も強い。起点が増えることで「琉球戦ではセル君がボールを受けてくれたので、僕もやりやすかった」(一美)という声も聞こえている。

そうして敵陣へボールを運んだ上で、現在のチームの課題となっているのが、最終局面でどのようにシュートまで持ち込むかだ。大切なのはボール保持率ではなく、相手の嫌がるスペースを突けるかどうか。相手の守備を打ち破るには、戦術だけでなく個の能力が必要だ。チームとしての攻撃が研究・対応されてきた状況では、なおさらだ。
その点について、エスクデロはこう語る。「ボールを持ったときにパスを通せるかどうか。狙うコースは厳しいのかもしれないけれど、味方に届けばチャンスになる。パスは相手にカットされるかもしれない。クロスはGKに捕られるかもしれない。シュートはブロックされるかもしれない。そうして失ったボールが相手に渡ってカウンターになるかもしれない。でも『それが怖いからトライをしない』じゃ駄目なんです。トライして失敗して、それで試合に出れなくなれば仕方ない。ピッチに立つ以上、自信を持ってトライしないと勝てないんです」。

求められているものはゴールやアシストに直結するプレー。ホーム最終戦となる千葉戦でも途中出場の可能性が高いが、やるべきことはわかっている。
「自分の思いだとかは置いておいて、活躍を待ってくれている人たちの為にも、どんな状況でもめげずにやらないといけない。それは琉球戦で改めて感じました」。さらに「このシーズンの行方を左右するような大事に時期に、途中から残して結果を残せた。これを続けて、チームのプレーオフ進出へつなげたい」と話している。

このままじゃ終われない。終わってたまるか。心の中でたぎらせる意欲と、ピッチ上での攻撃力。それらを上手く融合させてプレーで表現することで、昇格を目指すチームのラストピースとなってみせる。

文:雨堤俊祐(京都担当)


明治安田生命J2リーグ 第41節
11月16日(土)14:00KO たけびし
京都サンガF.C. vs ジェフユナイテッド千葉
たけびしスタジアム京都(京都サンガF.C.)
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