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【横浜FC vs 大宮】ポゼッション志向のチームにあって異質の輝きを放つ、渡邊一仁の矜持

2019年9月14日(土)


第19節から13戦無敗。前節は甲府との上位対決を制し、ついにJ1自動昇格圏の2位に浮上した横浜FC。5月に下平隆宏監督が就任して以来、サッカーの内容も大きく変わリ、12勝4分2敗と結果が出ている一方で、難しい立場に立つ選手もおり、渡邊一仁(写真)もその一人だ。ハードな守備が持ち味のボランチで、昨季のタヴァレス監督政権では3ボランチの右に入り、北爪健吾の積極的な攻撃参加を高い守備力で支えていた。

ただ今年、選手の移籍もあってフォーメーションが変わると出場機会は少なくなり、監督交代以降は激減した。ボールを保持して主導権を握る下平監督のサッカーでは、中盤の選手にはボールを動かす力が求められる。「その役割では僕より優れている選手がいっぱいいる」。そう分かってはいたが、「メンバー外にもなったことは正直、ショックだった」。中盤の選手は難しい。前線や最終ラインの選手であれば何か武器を持っていれば使われやすいが、中盤の場合はチームや監督が変わってその武器が戦術に合わなければ使われなくなってしまう。ただ、「求められるところは分からないでもないから」と、彼は「自分を見つめ直して」日々のトレーニングに打ち込んだ。

確かに試合に出る機会は多くないが、「自分の中では充実している」と渡邊は言う。それはプロ11年目を迎え、今年で33歳になったが、「この歳でもサッカーが上手くなってると感じる」からだ。下平監督の指導を受け、止める・蹴るを意識することで次のプレーも早くなり、判断を変えることもできるようになった。下平監督の目から見ても、「この数カ月で一番上手くなったのは誰かというと、ナベ(渡邉)だと思う」という。「今までナベは『ボランチはバチンと行って、潰してナンボでしょ』というのがメインで、『ここにボールを止めなきゃいけない』とか『立ち位置はここに立たなきゃいけない』というのを、たぶんあまり大事に思ってなかったんじゃないか。それが今はコントロールの仕方、パスの仕方、見るところも本当に伸びた」。そう言って指揮官は目を細めた。

田代真一が累積警告で出場停止になった第25節・山口戦の他にスタメン出場はないが、ベンチ入りは続いている。甲府戦では1点をリードして甲府に押し込まれている終盤に投入された。指揮官からは「(ゲームを)閉めろ」とシンプルな指示。守備的なポジションであっても攻撃に特徴を持つ選手たちが多い中で、彼の投入はチームに示すはっきりとしたメッセージとなる。チーム一丸となって甲府の猛攻をしのぎきり、勝点3を得ることに貢献。「もともと守備ではしっかり体を張れる選手。ベンチにいるのは心強い」と、下平監督もその使い方は心得ている。

「もし、もっと若いときにシモさんの指導を受けていたら、選手としてもうちょっと幅が広がったかな、もっと良い選手になれたかなと、いろんなことを考えます」と渡邊は言う。ただ、時間を巻き戻すことはできないが、彼が守備を磨き上げてきた長い時間もまた無駄ではないはずだ。
「そこしかないというか、プロで10年以上そこで生きてきた。監督から求められているものにプラスして、自分の強みは守備というはっきりとしたものがあるので、そこは見せつけないといけない」
きっぱりと言い切る言葉から、彼の守備者としての誇りが滲む。残り11試合、自動昇格へ続く厳しい戦いの中で、渡邊一仁の守備力が頼りにされる場面は今後も増えていくだろう。

文:芥川和久(横浜FC担当)


明治安田生命J2リーグ 第32節
9月15日(日)18:00KO ニッパツ
横浜FC vs 大宮アルディージャ
ニッパツ三ツ沢球技場(横浜FC)
みんなの総合評価 (4.2)
臨場感 (4.7)
アクセス (3.6)
イベント充実 (3.5)
グルメ (3.2)
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