【福岡 vs 甲府】 ウォーミングアップコラム:セランテスがゴールに鍵をかける時、勝利の女神がアビスパに微笑む

2019年5月17日(金)


「チョットマテ!」「チョットヒダリ、チョットヒダリ」
雁の巣球技場に今日も大きな声が響く。声の主はセランテス(写真)だ。試合中の指示なら難なく日本語で通す。さすがに取材は通訳を通して行われるが、必ずと言っていいほど自ら日本語のフレーズを挟む。来日してからまだ5ヶ月余り。日本語習得能力の高さには会うたびに驚かされる。

「日本でプレーするために大事なことは、日本語はもちろん、日本の文化にどれだけ適応できるかだと思っているよ。日本を理解しようとしていることを知ってもらうことでチームの一員だと認めてもらいたいし、自分もチームの一員だと実感することができるからね」
来日当初は、部屋にあるものに日本語の名前を張り付けて単語を覚え、いまは日本語教師と契約してスカイプを利用して日本語の勉強を続けている。そんな努力の甲斐もあって、現在では簡単なジョークなら日本語で理解できるようになり、平仮名は50音全部を読み書きできるようになった。
日本食にも目がない。一番好きなのは白いご飯。ご飯の上にいろんなものを乗せて食べるのが好きだという。練習場にほど近いうどん屋は今では行きつけの店になった。

そうした努力はプレーに確実に表れている。もともと、ラ リーガ(リーガ・エスパニョーラ)で正GKとして活躍していたこともあり、その実力が高いことは知られていたが、初めての海外、初めての日本でプレーするのは決して簡単ではないはずだ。だが来日当初から実力を余すことなく発揮。そのプレーはまさに守備神という名にふさわしい。

それでいて謙虚さという意味では日本人以上に謙虚だ。「自分はチームの一人にすぎない」。それがセランテスが常に口にする言葉。「自分のプレーを高く評価してくれることは嬉しいが、自分はゴールを守るために来ていると思っているし、その仕事を全うしているだけのこと」と話す。

そして、さらに高いレベルを目指してトレーニングを積む。
「どんな失点であっても防げる方法があるはず。今のプレーよりも、もっといいプレーがあるはずだと常に思いながらやっている。そういう意味では、自分が100%の状態になるということは絶対にない。自分が100%だと思ったら、それは自分の成長が止まる時。そうならないように、常に今の自分よりも上のレベルを追い続けている」
そうした日常の積み重ねがセランテスのセーブを支えている。

「キャプテン翼」の若林源三に憧れて始めたというGKのポジション。先日「若林君を超えたのではないか?」と問いかけると何も言わずに笑顔で答えてくれた。あの笑顔が意味するものは何だったのか。その答えは甲府戦できっと見せてくれるはずだ。

文:中倉一志(福岡担当)


明治安田生命J2リーグ 第14節
5月18日(土)14:00KO 博多陸
アビスパ福岡 vs ヴァンフォーレ甲府
東平尾公園博多の森陸上競技場(アビスパ福岡)
みんなの総合評価 (3.4)
臨場感 (3.2)
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イベント充実 (3.6)
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