【名古屋 vs 広島】 ウォーミングアップコラム:守備だけでなく、攻撃面でも武器となるために。米本拓司のトライ&エラーは続く。

2019年4月27日(土)



対戦相手が目に見えて「名古屋対策」を講じるようになってきた昨今、標的の一つにされているのがボランチである。今やリーグ有数のゲームメイカーとしてその名が知れ渡ったジョアン シミッチと、掃除屋という従来のイメージを覆しつつある米本拓司(写真)。彼らの攻守における貢献度を下げることが有効であることは、もはや名古屋と戦う上では常識化してきた印象が強い。今節は磐田戦で負傷退場したシャビエルの状態についても不透明なところがあり、なおさらにチームの中軸を担うボランチのプレーの重要性は増す。

「研究はまあ、してくるよなとは思ってやっています」。達観したところを見せつつも、それが何だと言わんばかりに話すのが米本だ。前節の磐田戦では特に明確な形で“シミッチ封じ”を敢行され、うまく攻撃のリズムを上げられなかった反省がある。試合後には「今後絶対にジョアンを抑えに来る相手は出てくる。自分が成長しなければ」と語り、よりボランチとしてのプレーの幅を広げる決意を新たにしていた。そもそも名古屋への移籍は「上手くなるため」という意志が強く働いたもので、実際のプレーの内容としてもパス本数がFC東京時代に比べて激増するなど、チャレンジの跡は数字にも表れていた。日本人ボランチとして今なおJリーグ屈指の守備力を誇る男が目指すのは、より万能型のセントラルMFである。「もっと僕がボールを受けられるようになったり、パスが出せるようになれば、ジョアンももっと生きてくる」。攻撃面での貢献度を上げることが、目下の彼の課題だ。

もちろん本職の守備面でも抜かりはない。今季の名古屋の守備はことさらにハイラインの部分がフォーカスされがちだが、彼らが狙っているのは高い位置での守備ではなく、布陣をコンパクトに保つことがその第一義だ。敵陣に押し込んでサッカーを展開し、攻守の継ぎ目をできるだけフラットにしていくことで、自然と守備のラインが上がっているだけで、「オフサイドを取るためにやっているわけではない」とセンターバックの丸山祐市も証言する。そうした前提条件を踏まえて米本は、今後は相手の動きや試合中の状況に合わせて“枠”と呼ばれるコンパクト布陣を上下動させる必要性を口にする。

「奪ったところが相手のゴールに近ければチャンスにもなりますから、高い位置でディフェンスはしたいです。でも、行けないならば下がって守備をしなければいけません。そこはどう捉えるかで、前の選手が守備に行っているのであれば、選手の距離は前に縮めてハイラインにしなければいけないし、行けていないならば後ろに重くすることもある。時間帯や流れもありますが、できれば前に距離を縮めて“枠”を作りたいけど、それは僕やジョアンなど中盤の選手が見極めて、DFラインと話し合って決めたい。枠を下げてもそこからボールを奪いに出て行ければ、前向きにボールが取れてチャンスにしていけますからね」

理路整然とした思考回路には首肯するばかり。サッカーについてはデータ派でもあり、ボール狩りの荒々しさとは裏腹に相当に考えてプレーする選手だ。広島との上位直接対決にしても「守備が堅いから先制点が重要。先制点を奪えば前に出てくるし、そうなればまたチャンスが生まれて追加点も狙えるようになる」とイメージトレーニングは始まっていた。「もちろんそれが理想だけど、上手くいかなくても前節のように粘り強く戦いたい」とも言う。ピッチ上で流れる試合状況を一喜一憂せずに受け入れ、次の行動を起こせるのも米本の強みである。

最近の名古屋は丸山や中谷進之介などセンターバックの攻撃参加や、吉田豊、宮原和也といったサイドバックのペナルティエリア内でのプレーが頻繁に見られるようになってきたが、米本だって負けてはいない。中央突破を警戒する相手には彼のミドルシュートも有効であり、そのイメージを逆手にとった縦パスの供給やペネトレーションだって今の米本にはできるはずだ。「まずは正攻法で相手の対策を超えるのがやるべきこと」。守備の局面だけでなく攻撃でも背番号2が存在感を出すようになれば、広島戦の勝利だけでなく、今後の名古屋にとっても大きな武器が手に入る。

文:今井雄一朗(名古屋担当)


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