【名古屋 vs 神戸】 ウォーミングアップコラム:消化不良の自分を突き破るべく。前田直輝は大胆不敵に仕掛ける。

2019年3月5日(火)


21歳以下の選手をスタメンに1人以上入れなければいけないレギュレーションが示すように、ルヴァンカップは若手の登竜門あるいは、チームの総合力を示す場でもあることは周知の事実だ。リーグ戦の合間に入ってくる試合日程を考えても選手の入れ替えは必至で、だからこそ各チームは意欲的な選手起用で2つの大会のより良い両立を目指す。野球で言う“ファーム”という場がないJリーグだからこそ、そこにはチーム力の育成・強化における重要な実戦という趣もある。

オフシーズンの積極補強により、選手層に厚みを増した名古屋にとっては、このルヴァンカップは総力を見せる場であると同時に最高の“ショーケース”と言えるものになる。千葉和彦や小林裕紀、金井貢史や櫛引一紀などいまだリーグ戦で出番を得られていない実力者たちが手ぐすねを引いて公式戦でのプレーを待ち望み、新人を含めた若手もまたアピールの機会をうかがっている。それが故か、風間八宏監督は「トレーニングの中ですごくみんなが自分のプレーを出している。ならば全員にチャンスがなければおかしいと思うし、それが大事なこと。本当に試合数はもっとあってもいいと思えるぐらいにやる気がみなぎっている」と、これまでにない手応えを連戦の中に感じていた。

さてここからが主役の登場だが、前田直輝(写真)である。開幕スタメン、2節は途中出場ながら赤﨑秀平の2得点目を生む積極守備でチームに貢献したが、昨季の大立ち回りを思えば物足りなさを感じるのは誰の眼にも明らか。活躍したがゆえにマークされる人物となった部分もあるだろうが、キレや機動力、ゴール前に入っていく迫力など“名古屋の前田”を形作った持ち味はまだまだ発揮されているとは言い難い。コンディションが悪いわけではないが、ベストには程遠い。昨季で引き上げられた感覚に身体が追いついてこないことで、開幕戦では心身を余計に疲弊させてしまっていたというのは本人の分析だ。

しかしコンディションというのは一朝一夕に上がるものではなく、主力として「1年間で結果を出す身体つくりをしなければいけない」という自覚も彼にはある。だが、現状は悠長に構えていられるほど安泰なものでもない。リーグ開幕2節でチームが挙げた6得点のうち、ジョーの2得点を除くすべてが途中交代の選手が記録しているのである。前田と赤崎、和泉竜司と相馬勇紀の4人が入れ替わって活躍を見せたのは素晴らしい過程と言えるが、目に見える結果を出していないのは前田だけ。焦る気持ちがないはずがない。

「本当に課題が多いので、やるべきことをルヴァンカップでもやらないとな、という感じです。まず自信を持ってプレーしなければいけないなというのが一つ。もっともっと自信を持ってやらないと相手だって怖くないと思うし、ミスも多くなってまたボールを受けるのが怖いという負の連鎖になってしまうから。ここは一度、バチンと大胆なことをやらなくちゃいけないと思っています」

二度の“失敗”を経て、前田の腹は据わったようだ。彼の本来の姿は純粋この上ないドリブラーである。多彩な仕掛けと駆け引きを可能にする膝下の俊敏性とテクニックはまったくもって健在で、トレーニング中から惚れ惚れするほどの鋭さがある。カットインからのミドルレンジシュートも持っており、チャンスメイクもフィニッシュワークでも“大胆なこと”をするための武器は揃っている。「ボールを持つ前から決着をつけろとはよく言われますが、持ってからでも決着はつけられる」。確固たる自信も彼のトライを後押しする。

今季の名古屋は破壊力抜群の攻撃だけでなく、積極性にあふれる守備でも好評価を受けている。前線からのディフェンスを起点とする全体守備は前田たち攻撃陣の勤勉さがスイッチにもなるものだが、「それで攻撃が疎かになってしまったら自分の良さは消えてしまう」とバランスはあくまで攻めに傾ける。心もプレーも守りに入るつもりは毛頭ない。前田の気持ちは常に前へと向かっている。

「毎試合ですが、泥臭くやっていきますよ。1試合、1試合、自分も18歳のつもりで走ります。新人の頃のようにね」

21歳以下ではないが、24歳の前田も十分に若手である。大胆に、泥臭く、勝負に熱く。本領発揮へのきっかけをつかむべく、背番号25は攻守に仕掛けて仕掛けて仕掛けまくる。

文:今井雄一朗(名古屋担当)


JリーグYBCルヴァンカップ 第1節
3月6日(水)19:00KO パロ瑞穂
名古屋グランパス vs ヴィッセル神戸
パロマ瑞穂スタジアム(名古屋グランパス)
みんなの総合評価 (3.8)
臨場感 (3.6)
アクセス (4.6)
イベント充実 (3.7)
グルメ (3.8)
アウェイお楽しみ (3.4)

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