【名古屋 vs 札幌】 ウォーミングアップコラム:運命にも似た古巣戦出場のチャンス到来。櫛引一紀の活躍に期待せずにはいられない。

2018年10月27日(土)


なかなかに“持っている”男である。シーズン序盤を主力DFとして戦うも、夏の補強で守備陣が一新されてからはベンチ要員が定位置となっていた。しかし日々のたゆまぬ努力でひたすらに再起の時を待つこと3ヵ月。7連勝後は3連敗と苦戦していたチームが心機一転、3バックを採用すると、その一角としてのポジションを得た。「これが自分にとってのラストゲームと思ってやりますよ」という意気込みは本人的にはやや空回るところもあったようだが、いくつかのメディアが選ぶベストイレブンに入るほどのハイパフォーマンスを見せ、迎えた次節が古巣の札幌戦である。台風によって延期されていた一戦だけに、嵐がなければ櫛引一紀(写真)はベンチで古巣を迎え撃っていた可能性は高い。時流をつかんだチームのマスコット的存在は、前節以上の気合を込めて戦いに臨む。

良い選手である。お世辞ではなくて。センターバックとしてのサイズは182cmと決して大きくはないが、とにかくプレーに馬力がある。機動力が高く、行動範囲の広さが売りのハードワーカーだ。足元も器用で攻め上がりを躊躇することはなく、通常よりもさらに攻撃的な名古屋の3バックではウイングバック然としてサイド攻撃に積極参加する。そこで決定的な仕事を連発…とまではいかないが、得意とする守備のカバーリングを含め“ここにいてほしい”というニーズに応えることができる選手だ。何でそんな選手が出番を失っていたかといえば、これまではややミスが多かった点が考えられる。視野も広く、縦パスの狙いどころも良いものがあるのだが、そこを通しきるだけの精度が少し足りない。せっかく奪ったボールをすぐに奪われてしまうプレーが練習でも多ければ、それはトライを取り越して軽率と見られても仕方がない。逆に言えば、そういった点が修正できたからこそ櫛引には出場機会が巡ってきたわけで、先の柏戦では持ち前のダイナミックさと欲をかかないシンプルなプレーが実に光った。

前節で警告をもらえば出場停止だったという危機も乗り越え、こぎつけた今季二度目の古巣戦は「前回よりはリラックスしてやれると思います」と言うものの、「いつもより空回りする気持ちも感じます」と鼻息は荒い。特にアウェイではまさかのオウンゴールも献上してしまっているだけに、マイナスを取り返したい気持ちも強いはず。余談だがその試合後、札幌の選手たちと再会した櫛引を待っていたのは「クシ、サンキュー!いくらだったっけ?(笑)」というギリギリのブラックジョークだった。「やめてくださいよ…」と苦笑する櫛引だったが、名古屋と同様に彼が愛されるキャラクターだったことを感じる瞬間でもあった。札幌の都倉賢にはツイッターでトレードマークである顔の大きさをたびたび指摘され、イジられている。名古屋でもそれは同じで、最近では「顔が大きい」というストレートなものではなく、「耳ちっさ!」という間接照明的なイジり方も誕生した。それ以来、櫛引の耳をついつい見てしまう自分がいて悔しい。だって本当に小さく見えるんだもの…。話を戻して、「札幌は自分のすごく好きなクラブですから、今も試合はよく見ますし、特別な感じは相手の選手を見てもありますね」と櫛引は言う。今度こそ成長した自分をかつての仲間に見せたいところだが、それは十分にできると思う。それは日々の練習を見ていればわかる。

櫛引にとっては土壇場で奪還したスタメンの座である。だからこそ「少しでも悪ければ誰かが代わりに出ることになる。この前のプレーをアベレージにして、あれ以上のプレーを今後はしていきたい」と意識は高まる一方だ。ピッチでのミスはピッチでしか取り返せない、と誰かが言った。ここはぜひともオウンゴールをチャラにするだけの活躍を(できれば得点なども…)期待したいところだ。ミドルレンジのシュートに良いものを持っていることは知っている。DFとしての役割をきっちりこなし、攻撃面でも見せ場を作れば、「ここから全部出たい」という希望も叶うだろう。期待しすぎかもしれないが、彼は褒めて伸びるタイプである。これだけ言えばきっと彼は応えてくれる、はず、だ。

文:今井雄一朗(名古屋担当)


明治安田生命J1リーグ 第18節
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