【群馬 vs 沼津】 ウォーミングアップコラム:群馬DF久木田紳吾。「台風の天気図」と「J3の勢力図」を瞬時に解析するAIプレーヤー

2018年10月13日(土)


東大卒の初Jリーガーとして脚光を浴びたのは2010年。あれから8年という時間が流れた。大卒ルーキーとして岡山に加入、計7年在籍したAIプレーヤーは今季、J3の群馬でプレーしている。

東大では都市工学を専攻。しかし、その道へは進まず夢を追いかけてJの世界へ飛び込んだ。当初はFWだったが、プロ入り後にDFに転向。ゴールを奪う立場から、ゴールを守るポジションへ。群馬では、3バックの右CBに配置され、今季25試合すべてにフル出場。久木田は自らのタスクを黙々とこなす。

寡黙なタイプだ。東大卒の見えない“鎧”と、洗練された言葉が醸し出す独特のオーラ。サッカー界では稀有な存在。取材側としては、“距離感”をつかむのに時間を要した。それはサポーターも同じだったのかもしれない。しかし、見えない壁が崩れる「歴史的なシーン」が訪れた。

台風接近の状況下で開催された25節の相模原戦後半38分、久木田はFKのこぼれ球を、左足の反転シュートで捉えて決勝ゴールを叩き出した。群馬移籍後、初ゴール。久木田は、その喜びを全身で表現。試合後のゴール裏ではトラメガを渡されて、サポーターへ演説する機会を与えられた。

そのとき、チームメイトからこんな声が飛んだ。「東大コメント、よろしく!」

久木田はAIのごとく咄嗟に答えを導き出す。「台風は日本列島に上陸すると、スピードが増すので気をつけて帰ってください!」。ゴール裏サポーターは、彼の粋なコメントに沸いた。

久木田フィーバーは止まらない。次節秋田戦も、台風接近の予報。練習後に台風コメントを求めると「今回の台風は日本海を進むので、速度は上がらないかもしれない」と解説し優等生ぶりを発揮。「僕の専攻は都市工学なので、正直、台風は詳しくないです(笑)」と、精悍な表情を緩ませた。

4位群馬は、久木田の奮闘もありチーム総失点はリーグで2番目に少ない23失点。現在は、昇格ラインの2位鹿児島を、勝点2差で追う。今節は昇格レースの生き残りをかけ、3位沼津との直接対決へ挑む。

「僕たちは、下から追いかける立場。一戦一戦、しっかり準備していくだけ」。

久木田は、台風の天気図とJ3の勢力図をしっかりと把握しながら、J2昇格へ向けて最善の航路を突き進む。東大からJリーグを目指したあの頃と同じ気持ちで、サッカーと向き合い、J2復帰を目指す。

文:伊藤寿学(群馬担当)


明治安田生命J3リーグ 第27節
10月14日(日)19:30KO 正田スタ
ザスパクサツ群馬 vs アスルクラロ沼津
正田醤油スタジアム群馬(ザスパクサツ群馬)
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