【YS横浜 vs 富山】 ウォーミングアップコラム:樋口監督も惚れ込んだ才能。ダイヤの原石・三沢直人

2018年9月28日(金)


ゴールから右斜め45度の位置。前節・福島戦、0-0で迎えた後半アディショナルタイムに獲得したFKに2人が助走をとる。そのキッカーを決めるのには時間は掛からなかった。

「狙ってみたら?」(後藤 京介)

その言葉に頷いた三沢 直人(写真)は右足をインスイングでミートさせて、ボールに力を伝える。スピードとコースが完璧な軌道は鮮やかにサイドネットを突き刺した。「入っちゃった(笑)」。満面の笑みを浮かべながらピッチへ倒れ込み、背番号23がYS横浜の約3カ月ぶりの勝利を手繰り寄せた。

この日“ヒーロー”となった三沢は今季、セレクションを経て専修大学から加入したルーキー。体の柔軟性もあり、基本技術の『止める、蹴る』のレベルが高い。加えてどこでボールを受けたら相手にとって怖いのか、どこへ出したらチャンスになるのか。そのイメージを頭に描き、瞬時にプレーに移すことができる天才肌のMFである。この才能に新チームが始動して間もなく「すぐにでもJ2でできるというイメージがあった」と樋口靖洋監督も惚れ込んだ。

それだけの能力を持った選手が第14節・北九州戦で負傷し、約3カ月間ものあいだ離脱を余儀なくされたのだから、8試合未勝利と不調に喘いだ時間は苦しかった。パタリと得点から遠のき、ペナルティエリアにすら侵入できない試合も多々。だからこそ、中断期間中はゴール前のラスト3分の1の工夫や精度を求めてシステムを変更するなどの試行錯誤も重ねたが、その課題がクリアになることはなかった。

しかし、それが三沢の復帰戦となった第22節・沼津戦や福島戦からは良化に向かっている。背番号23のアイディアや工夫が厚みを生み出し、一時は3位まで上り詰めた好調だった“深さと幅”を使うポゼッションサッカーが再び表現されるようになってきた。

「やっぱりアクセントになる。ボール受ける位置が違うし、タメもできる。ラスト3分の1の変化を付けることができるし、見えているところも違う。ボールを受ける前にイメージしている。本当に大きなプラスになっている」(樋口監督)

攻撃のキーマンの復活でチームの息を吹き返し始めている。だが「やっぱりゴール前で貪欲にシュートを打つとか、そういうところでスルーパスを出しちゃうところがある。気持ちはあるんだけど…(笑)。口では言えるけど、プレーでは欲を出せないんですよ…」と三沢が話すように、物足りない部分は試合を決定付けられる“欲”。ゴールへの道筋をイメージする最後のフィニッシャーに自分を持ってくることができたら――。もしそうなれば、前述した“J2レベル”の選手へ変貌を遂げていくのだろう。

「期待を裏切らないようにやりたし、期待を良い意味で裏切れるようにやりたい」(三沢)。飄々としている23歳はまだまだ成長過程。いまはダイヤの原石だが、磨けば磨くほど燦然と輝く。

文:髙澤真輝(YS横浜担当)


明治安田生命J3リーグ 第25節
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