【名古屋 vs 鳥栖】 ウォーミングアップコラム:「あんな前田直輝見たことない」。

2018年8月18日(土)


前田直輝(写真)が加入して5試合が経過し、相手チーム側のメディアからそんなつぶやきが聞こえてくるようになった。確かに前所属の松本では28試合中の16試合で3得点、出場時間は925分とそれほど際立った数字は残していない。翻って名古屋では5試合すべてにスタメン出場し、途中交代は前節の一度のみ。個人成績でも2得点2アシストで、さらに明確なアシストではないお膳立てを含めればもう2得点を演出している。控えめに言っても大活躍。今やジョーやガブリエル シャビエルと並ぶ攻撃陣の中心選手のひとりとして、名古屋の4連勝を支えている姿を見れば、「いったい何が起きているのか…」と不思議がる人がいてもおかしくはない。

もっとも本人は謙虚を貫く。コメントの端々には自分のサッカーに対する自負心とある種の威勢の良さを感じるのだが、「全然そんなことないです」、「(ピノキオのように)鼻を伸ばさないようにして」と自らを制することを忘れない。絶好調だと問われても、「そんなイメージはないです。課題が山ほどあります」と答える23歳は、それでも水を得た魚のように生き生きとその才能を発揮していることは確かだ。独特でキレのあるドリブルのタッチと松本仕込みの運動量、名古屋の強化部から「自然とできている」と評価されたDFライン裏を陥れる動き出しのセンス、そしてパンチの効いたシュート力。2列目までならサイドもポジションも問わない戦術理解度も含め、これほどまでにフィットするかというくらいに名古屋のスタイルに合致している。

何とも言えない人間臭さも彼の魅力の一つだ。例えば前節はあまり良い動きができずに69分で交代を命じられているが、本人曰く「気持ちが入りすぎた」ことでパフォーマンスを落としたのだという。古巣の一つである横浜FMという相手に対してもそうだが、アウェイとして足を踏み入れたその環境にもやられたのだと前田は苦笑いする。

「やっぱり日産スタジアムに入ると『やってやろう!』という気持ちが出てしまいました。あと、入場の時にマリノスは『民衆の歌』が流れるじゃないですか。あれを聞いてもまた高ぶってしまうところがあって…。そこは切り替えて次は冷静に、やるべきことはやりつつ肩の力を抜いてプレーしたいと思いますね。もう1回初心に帰るというか」

何と熱い男か。加入して早々にジョーとのホットラインを築き、和泉竜司ともパスの受け手と出し手の良い関係を得た前田だが、あるいはこの感受性の強さ、感性の高さがその大きな要因なのかもしれない。今節は良き相棒となったジョーが出場停止であり、なおさらに背番号25に向けられる期待の視線は強くなる。フェルナンド トーレス、金崎夢生という大駒を手にした鳥栖は残留争いの直接的なライバルとしても極めて重要な対戦相手だが、前田は自らのことは慎重に、しかし戦いについては大胆な言葉をチョイスし、意気込みを語った。

「確かに逃げ場として、詰まった時のジョーという攻撃があることは否めないです。そこでジョーがいないというのは少し攻撃が変わってくる部分かなとは思います。でも、という部分が当然自分にもありますし、シャビエルも身体を張れますから、僕は運動量豊富にやらなくちゃと思います。そこはいろんな選手でうまく流動的にやれたらなと。いつでもボールは握りたいと思っているチームですし、ジョーの頭を使わなくても下で攻められるくらいのことはしたいと思いますけどね。
まあ、鳥栖のビッグネーム……ウチだってジョーがいますから(笑)。だから何だ、って気持ちで挑もうとは思いますね。ウチにとっては一つも落とせない対戦だというのは変わりないし、絶対に勝たなくちゃいけない目の前の相手、という部分でも変わらないです。いま乗っているのは完全にウチだと思うし、良い流れ、グランパス風に言うと『良い風に乗っている』のは名古屋です。その勢いのままでやりたいですね」

前節の悔しい途中交代も「逆に自分は連戦の中で休めたと思うぐらいでやる」とポジティブシンキングに切り替え、攻撃陣にさらなる彩りを加える。今節のパロマ瑞穂もチケットは完売ペースで今日を迎えており、大歓声が前田の感性を刺激しまくること間違いなし。貪欲かつ謙虚に、冷静かつ情熱的なプレーで名古屋の快進撃を支える魅惑のアタッカーには、今節も大いに期待しておいて良さそうだ。

文・写真:今井雄一朗(名古屋担当)


明治安田生命J1リーグ 第23節
8月19日(日)18:00KO パロ瑞穂
名古屋グランパス vs サガン鳥栖
パロマ瑞穂スタジアム(名古屋グランパス)
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