【町田 vs 金沢】 ウォーミングアップコラム:「祈り」に応えてアシストを量産中。平戸太貴が先発から外れた時期に取り組んだこと

2018年7月20日(金)


平戸太貴(写真)がサポーターの「祈り」に応えてアシストを量産している。FC町田ゼルビアはセットプレーからの得点率が高いチームだが、平戸はCKやFKのキッカーを務めることが多い。平戸は7月16日のロアッソ熊本戦でセットプレーから2アシスト、右クロスから1アシストを記録。今季のアシスト数は1,396分のプレー時間で「11」を数えている。
 
熊本戦では中島裕希が平戸のお膳立てから2得点を記録したが、彼はこう口にする。
「タイキのセンスだと思うんですけれど、自分たちが走っていく空間にボールを合わせてくれる。合わせやすい、当てるだけの球が来ます」
 
キックの強さや精度、曲がりの強さも大切だが、平戸には「動くターゲット」に合わせる予測や空間認知の感覚がある。これは貴重な天性だ。
 
ただし平戸が完成された、課題の無い選手かと言わればそうではない。7月は他の選手のケガもあって先発に戻ったが、6月のリーグ戦5試合はいずれも途中出場だった。それは相馬直樹監督の要求に応えられていなかったからだろう。
 
平戸は課題の一つをこう口にする。
「昨シーズンから強さ、戦う部分、ボールを奪い取る部分を課題としてやってきた。(今季の)最初の頃はそれを試合の中で上手く出すことができたけれど、ベースとなる当たり前の部分がなあなあになってきたというか、上手く試合に出せなくなっていた。ベースになる部分をもう一回自分で見つめ直して、試合に出ていない時期は取り組んでいた」
 
11日の天皇杯3回戦・鹿島アントラーズ戦は、期限付き移籍中の平戸にとって大きい試合だった。1-5という大敗に終わった中で、彼はやはり課題と悔しさを口にしていた。一方で中4日の熊本戦は何パーセントかだが課題を消化し、悔しさを晴らす試合になった。
 
熊本戦はアシストだけでなく、動きで彼の狙いが出ていた。平戸は言う。
「立ち上がりから前にどんどん出ていこうという気持ちで入った。非常に暑い中でも、前にボールをつけてパス&ゴーで中に入っていくシーンを作れた。ボールが来ていればフィニッシュに行けたシーンもあったし、クロスからターンしてシュートを打つ場面もあった。決めるチャンスはあったし、決められればもう一つ上のレベルに行けると思います」
 
相馬直樹監督も言葉を選びながら、平戸の変化を認める。
「オープンなプレーのときに、彼もちょっと意識が変わってきたと感じています。必要なときに必要なことを、できなくてもやろうとし始めてきた。鹿島とのゲームで意識が高まったかなと思っています」
 
平戸がセットプレーで見せる演出力は素晴らしいが、彼と相馬監督はそこに甘んじることなく、サッカー選手としてのベースを引き上げようと地道に取り組んでいる。彼がJ1の強豪や日の丸をつけてプレーするためには、攻守両面で質を大きく引き上げなければいけない。
 
ただし試合に出られないときでもふてくされず、課題としっかり向き合えることは、プレスキックと同じくらい平戸の大切な才能だ。彼が小さな挫折を乗り越え、飛躍しようという様子を見守れることは、今のゼルビアを観戦する醍醐味の一つだろう。

文:大島和人(町田担当)


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