【横浜FC vs 東京V】 ウォーミングアップコラム:レアンドロ ドミンゲスを見るだけでも、横浜FCの試合に来る価値がある

2018年6月2日(土)


レアンドロ ドミンゲス(写真)が止まらない——。

今季序盤は怪我で出遅れたものの、初スタメンを飾った第5節のアウェイ山形戦で、直接FKの1ゴールと1アシストの大暴れ。以後はトップ下を定位置に、第8節でも1ゴールを挙げると、5月に入るといよいよギアを上げる。第12節の讃岐戦でカウンターから決勝ゴールをたたき込むと、第14節の熊本戦ではCKから直接ゴールを狙って佐藤謙介の先制ゴールを呼び込み、終了間際に浮き玉のスルーパスで戸島章のゴールをアシスト。さらに前々節の千葉戦ではペナルティエリア外からスーパーミドルをねじ込み、前節アウェイ京都戦でも1ゴール1アシスト。今季ここまで5ゴール5アシスト。その一つ前のプレーも含めれば、間違いなくチームの総得点の半数以上に絡む活躍だ。

かつて柏でJ1昇格に貢献し、その翌年にはJ1優勝に導きMVPも獲得した。「体は軽いし、コンディションはどんどん良くなっている。でもまだベストなパフォーマンスじゃない。もっと上げていくよ」と言うからには、まだまだこの上があるのだろう。今節対戦する東京Vのロティーナ監督は、「とにかく彼に時間とスペースを与えてはいけない」と警戒を露わにした。
レアンドロ ドミンゲスの凄みは、一級品のパス、相手をかわして運ぶドリブルの技術はもちろん、それを最大限に発揮するポジショニングにある。ボールの動く先が分かっているかのような、ここしかないというポジションにフリーで待ち受ける。一度、「何かの魔法?ボールが来るところが分かるの?」と聞いてみたことがある。彼は「それが分かってたらもっとゴールが生まれてるよ」と笑い、「ただ、いつも相手から逃げる動きは心がけている」とだけ答えた。
何気ない答だが、この「いつも」という言葉の重みを感じるエピソードがある。昨季終盤まで監督を務めた中田仁司氏は、昨オフのある日、横浜FCの思い出話の中でしみじみとこう語ったものだった。「レドミは本物のプロフェッショナルだったよ。シュートまでのパターン練習で、DFの人型を立てて、そいつをかわしてボールを受けさせるだろ? あれよく見てたか? レドミだけだったよ、人型に本気でフェイントをかけてたのは」。人型に対してでさえ本気でフェイントをかける「いつも」が、彼の技術を支えている。どの選手も「練習から試合のつもりでやらないと」と言う。言うが、レアンドロ ドミンゲスほどに徹底できる選手は少なく、だからこそ“超一流”なのだ。

ただ、記者は個人的に、昨季3ゴールに終わった彼の決定力にだけは、不満というより不思議な思いを持っていた。ゴラッソも決めたが、一方でイージーに見えるシュートを外すのを見て何度も頭を抱えたものだ。だから聞いてみた。「人へのパスは針の穴を通す正確さで届けるのに、なぜシュートはなかなか決まらないのか?」と。
偉大なるクラッキは答えていわく、「ほかの選手、仲間が良い状態にあるときは、より可能性が大きいところにパスを出している。自分は中盤の選手なので、ゴールも嬉しいけど、パスを出してアシストする方が嬉しいし、より価値があると思っている」。要するに、俺はシュートにはそれほど興味がないのだと、高いプライドをのぞかせた。
しかし欲張りな担当記者としては、「次はゴールにパスを」とお願いする気持ちを抑えられなかった。その気持ちが伝わったのか、通訳がポルトガル語に訳す前にニヤリと笑い、「仕方ないな、分かったよ」と言わんばかりに記者の肩をポンと叩いた。

それが第14節の熊本戦後のこと。そして前々節、前節とレアンドロ ドミンゲスはすべての得点で、アシスト、その一つ前のパスはもちろん、連続でゴールを決めている。自信を持って言える。「レアンドロ ドミンゲスを見るだけでも、横浜FCの試合に来る価値がある」と。

文:芥川和久(横浜FC担当)


明治安田生命J2リーグ 第17節
6月3日(日)14:00KO ニッパツ
横浜FC vs 東京ヴェルディ
ニッパツ三ツ沢球技場(横浜FC)
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