【町田 vs 山口】 ウォーミングアップコラム:相馬直樹監督の現役時代と重なる? 今季は左SBに定着する奥山政幸

2018年4月21日(土)


第9節を終えて現在4位。悪くないスタートを切ったFC町田ゼルビアだが、奥山政幸(写真)は開幕から左SBに定着している。

彼は、今季の開幕前にまずボランチでチーム構想に入っていて、名古屋グランパスの育成組織や早稲田大では右SBやCBとして素晴らしいプレーを見せていた。守備についてはオールラウンダーと言っていい。ただ左SBの経験値はあまり高くなかったし、今季の起用もチームメイトの負傷といった「台所事情」による部分がある。

ただ奥山は想像以上に左SBにハマり、プレーの幅を広げている。相馬直樹監督に尋ねても「自分の良さ、特徴は出せていると本人も思っているのではないか。プラスアルファを出そうとしてくれているという風にも思います」と前向きな評価が返ってきた。

現役時代の相馬監督と奥山には重なる部分がある。二人は早稲田大学のア式蹴球部の出身で、持ち味はクレバーなプレーだし、雰囲気や性格も含めて似ているといえば似ている。

相馬監督が「彼は僕にないものを持っているし、僕にできないことができる」と付け加える強みもある。監督は奥山ならではの強みとしてアジリティ、対人の強さを挙げていた。町田の守備はかなり左右を詰めて絞って組織を作り、相手をサイドに押し出すスタイルだ。否応なくSBは1対1の対応が増えるのだが、そこで奥山のボール奪取能力がチームを助ける。

1993年生まれの奥山は監督の現役時代、フランスワールドカップでの活躍を記憶していない世代だ。ただ相馬監督が全体練習後にFWやGKの特訓で見せるクロスの強さや精度は、現役時代さながら。それを見た奥山は「左利きだと思った」と振り返る。両足を自在に操った日本代表のレジェンドと比較するのは酷かもしれないが、奥山の左足にはまだそこまでの質が無い。彼は「できることをやろうと捉えてやっています」と口にしつつ、地道に左足のレベルアップにも取り組んでいる。

一方で奥山は「自分は縦に突破していくタイプじゃないので、左サイドで真ん中を向いて持てた方がやりやすい。意外としっくり来ている」とも口にする。サイドでボールを「外側」に置くと、相手から遠くにボールを置けて、縦の突破やクロスといったプレーにつなげやすい。しかし「内側」に置くことで縦のフィードは出しやすくなる。

SBとしての動きについて、奥山は相馬監督からこのようなアドバイスを受けたという。
「自分は(パスを)つけて回るというよりは、回らないで下の位置でサポートしている場面が多かった。(相馬監督は)もっと外を回ってあげることが前の選手を助けるし、そうすればノッキングせずスムーズに攻撃できるよという話をされていた」

奥山にボールが戻らず「おとりの動き」になってしまったとしても、それはMFのマークを分散させつつ選択肢を増やしてあげるプレーだ。奥山は持ち味の運動量を活かして、そのようなSBらしい地味な貢献も見せている。相馬監督は「遂行能力」という表現を用いていたが、奥山は監督やチームメイトの要求に応える能力が素晴らしく高い。

相馬監督は奥山についてこんなことも口にしていた。「マサは真面目だから、言われたことを百とか百二十でやっちゃう。だからあまり言わないようにしている」

あの真面目な相馬監督が「真面目」と認めるのだから、ちょっとやそっとの真面目ではない!

レノファ山口は奥山が大卒1年目の2016年にプレーしていたクラブだが、まだ「恩返し」は済んでいない。昨年の第16節アウェイ戦はわずか1分間の出場で、第41節ホーム戦は出場停止だった。22日のホーム戦こそは、奥山の成長を古巣のサポーターに披露する場にもなるだろう。3位山口と4位町田が対峙する好カードの中でも、奥山のプレーは大きな注目点だ。

文:大島和人(町田担当)


明治安田生命J2リーグ 第10節
4月22日(日)15:00KO 町田
FC町田ゼルビア vs レノファ山口FC

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