【琉球 vs 富山】 ウォーミングアップコラム:先輩の背中を見て成長し続ける上門知樹の飛躍の誓い

2017年12月2日(土)


10月21日のF東23戦。台風の影響でピッチに水しぶきがあがる中、躍動する20歳の選手の目線は常にゴールを見据えていた。相手のファールで得たFKの場面では、本来ならば富所悠または田辺圭佑が務めるキッカー役を自ら買って出ると、右足から放たれたボールはゴールを脅かし続け観衆を沸かせた。沖縄で生まれ育ってきたJリーガー上門知樹(写真)は今、純県産プレイヤーとして心技体を磨き続けている。
「高校までは自分が先頭に立って引っ張っていく意識を持ってプレーしていましたが、琉球に入ってからは上手い選手ばかりがいる中でプレーしている。まったく違う世界ですしプロとしての刺激を受け続けています。とはいえJリーガーだからという意識を深く持ちすぎると自分自身追い込まれちゃうので自然体でいられるようにしています」(上門)。

沖縄でサッカーが盛んな地域、うるま市の与勝で育った上門は2015年、高校3年の秋に臨んだ選手権で与勝高のエースとして出場し14年ぶりの決勝進出に導く活躍を見せる。その姿を目の当たりにした李済華GMからのスカウトを受け、翌年琉球に加入した。「与勝の同級生や恩師も琉球戦に来てくれますし、目の前で得点を奪って期待に応えたいですね。そうなればもっと見る目が変わってくると思います」。

今シーズン開幕前に行われた「DAZNニューイヤーカップ沖縄ラウンド」の札幌戦。この試合、昨年まで田中恵太が背負っていた7番のユニフォームを着て出場した上門は76分、エリア内でのこぼれ球に対し躊躇なく左足を振りぬくとボールはゴールへと吸い込まれていった。その一連のシーンは、不思議と彼が慕う先輩の姿に酷似していた。
「(田中)恵太さんには僕が琉球に入ったときからいろいろと教わっています。裏の抜け出しや足元で受けるタイミングといった技術面やプロとしての心構え、厳しい先輩ですが親身になって教えてくれますし背中を追い続けたい存在です。ニューイヤーカップの時に背番号7のユニフォームを着たのは(水戸に移籍した)恵太さんの体のサイズとぴったりだったからだけで特別な意味はなかったんですが、いざ着たときに7の番号を見て、恵太さんだったらどういうプレーをするかなと少し意識しました。水戸に移籍したときは正直心細さはあったんですが、シーズン途中から恵太さんが戻ってきたので可能な限り吸収していきたいですね」。

上門はサイドハーフのポジションからスペースを生かしてチャンスメークし、特徴のあるキックの質とシュートでゴールに直結させるプレーができるのが魅力だ。FKでは富所と田辺の技術を目の当たりにし、それを自分に吸収させて磨いてきた。
指揮官の金鍾成監督は上門の成長を感じ取っている。「知樹は体の大きさやスピードを生かして積極的に裏のスペースに抜けようとするプレーがどんどん出てきている。そのあたりは同じタイプの田中恵太を模範としていますし、どちらかと言えばキックの質は知樹が良い物を持っている。いかにゴール前に侵入してシュートへと結びつけるのか、そのプロセスを自分の長所を理解した上でどのように作っていくのかというのがこれからの課題になるでしょう。彼が1年目のときのキャンプで恵太と同部屋にさせたんですが勝手に恵太のチョコレートを食ったみたいで、度胸があるというか天然というか。それで怒られて恵太に対して一瞬苦手意識があったようなんですが、良くも悪くも沖縄の子っぽくて育て甲斐のある選手です」。

昨年と比べて出場機会を増やした上門だが、まだ定位置確保までには至っていない。しかし、沖縄で生まれ育った選手として全国の舞台で光り輝く存在になり得る素質は十分に感じさせる。これからさらに成長し続けるだろう上門の姿を見守り続けたい。
「試合での最初のプレーが一番肝心だと思っているので、そこで良いスタートが切れれば気持ちも乗ってくる。まだプレーに落ち着きがないのでボールを奪われるシーンも多いんですが自信をもって勝負していきたい。リーグ戦でのゴールはまだないんですが、必ず点を奪って観客を沸かせられるプレーを披露できるよう頑張ります」。

文:仲本兼進(琉球担当)


明治安田生命J3リーグ 第34節
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