【秋田 vs C大23】 ウォーミングアップコラム:2年目でJ初ゴールのFW堺俊暉、「みんなで同じ方向を向いて120%の力を出す」

2017年11月11日(土)



第30節の富山vs秋田。0−2で秋田がリードしていた76分、富山の窪田良が中盤でボールを奪い、カウンターに転じようとする。しかし秋田のCB韓浩康(ハン・ホガン)がボランチのポジションをカバーして窪田のドリブルを一瞬遅らせると、その横にいた山田尚幸が窪田に体を寄せてボールを奪い、すぐさまショートカウンターに移る。

山田はワントラップして視線を上げると、利き足ではない左足で、富山のCB2人の間のスペースにスルーパスを出す。そのパスとほぼ同時のタイミングで、猛然とダッシュを開始した堺俊暉(写真)は、捕まる前に一瞬のスピードでCBを置き去りにすると、GKの位置を確認してゴール左隅に流し込んだ。

連動したプレスでボールを奪い、ショートカウンターを展開する「秋田らしさ」が詰まった3点目は、大卒2年目の堺のJリーグ初ゴールとなった。

「角度のないところからのスルーパスで、出してくれと思って走ったところにちょうど来たので…よく入れてくれたなという思いもあって、ゴール後すぐにヤマ君(山田)のところに行ったんですけど、ベンチで(深井)脩平とオザ君(小澤章人)が飛び出して喜んでくれてたことを後で聞いて、ベンチのほうにも行きたかったなと思いました。次はみんなと喜びたいです」

堺は山田に食事に誘われることが多いという。それだけに「ヤマ君からパスを出してもらって決めたのは嬉しかったです」と喜ぶ。

堺は2016シーズン、大卒FWとして秋田に加入。フィジカルの強さとスピードを武器に「J3得点王」を目標に掲げる新人に期待がかかった。しかしトレーニングマッチなどでゴールを決めて出番を得ることはあっても、公式戦でのゴールが遠かった。

そうして迎えた2017シーズン。4月9日の天皇杯秋田県予選決勝(対ノースアジア大学、9○0)でついにゴールを決める。しかしリーグ戦では終了間際での出場が多く、シュートを打てないまま試合を終えることも多かった。

今シーズンの出番が増え始めたのは、夏の中断期間以降。第25節の鹿児島戦でスタメンを飾り、積極的なプレーで好印象を残した。しかし第27節、再びスタメンとなった相模原戦では17分にイエローカードを受けたことにより、前半で途中交代を命じられる。第28・29節の終了間際の出場を経て、第30節の富山戦を迎えていた。

練習を見学する範囲では、堺の積極的にシュートを打つ姿勢は以前と変わらず、今季はよりスペースに抜け出す動きが際立つ印象を受ける。

堺によると「なんで点取れないのか」と思いながらプレーしていた1年目を振り返り、「今年は少しずつ自分ができることを増やしていったら点を取れた感じ」だという。その「できること」とはなにか。

「秋田に入る前までは、どちらかというと身体能力に任せてプレーしていて、相手に体をぶつけた状態でパスをもらったり、相手DFと並走したりする場面が多かった。秋田では(前山)恭平君とか(久富)賢君は相手がいない状態でボールを受けるのがうまくて、そのほうがボールを受けたときに自分の選択肢の幅が広がると思ったので、そこを意識しています」

チームメイトとのコミュニケーションを通じて、自身の良さをアピールできているという。「もともとスピードはあって、100mでは速いほうだと思います。でも50mになるとめちゃくちゃ速いわけではない。なので裏に抜け出すときは相手DFに追い掛けられないようなポジショニングも意識しています。得意だった裏の抜け出しについても、最近はチームメイトなどいろんな人とコミュニケーションを取って、自分がやりたいプレーをみんなに分かってもらえた上で、自分の良さを出してもらっているんじゃないかと。その面では去年よりも今年のほうが、より成長していると思います」

杉山弘一監督の指導も念頭に置いている。「トラップとパス、シュートに持っていくためにどう動くか。いろいろ指導を受けた中で、この2つを一番意識しています。ずっと自分に言い聞かせているので、頭の中で杉山監督に言われ続けている感じですね」

ポジション争いについて意識に変化があった。「1年目は負けちゃいけないという気持ちでやってきたんですけど、結果的に空回りしたので、人と戦うよりも自分を高めないとまったく意味がないと思いました。プレーもそうですし、色んな面でやっぱり自分がどうであるかが大切で、去年からだんだんと、自分と戦うことができるようになったと思います」

次節のC大阪U-23戦は、チーム得点王の田中智大が累積警告のため出場できない。しかしこの状況でも、堺にはJリーグ初ゴールに浮かれる様子はなく「スタメンでも途中出場でも、与えられた状況でチームに貢献できるように」という。それは残り4試合で、チームとして戦う決意があるからだ。

「優勝争いをするチームにいるのはすごく嬉しいことで、こういう雰囲気だから、この位置にいるのかなと。みんながみんな自分のことだけじゃなくて、チームの勝ちのためにやっている。1試合1試合で持っている以上の120%の力を出さないと優勝は難しい。あと4試合、みんなで同じ方向を向くことで、優勝にちょっとでも近づけるかなと思っています」。

文:竹内松裕(秋田担当)


明治安田生命J3リーグ 第31節
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