【仙台 vs 清水】 ウォーミングアップコラム:ボランチ・奥埜博亮、経験を糧に凄みを増す

2017年10月20日(金)


残り5試合となった明治安田J1リーグで、仙台は長期的に磨き上げてきたスタイルを熟成させ、勝利を目指す。3-4-2-1のフォーメーションを基本としたシステムの中央でこのスタイルを支えているのが、奥埜博亮(写真)だ。

もともとは攻撃的ポジションの選手だ。FWや攻撃的MFでの出場が多く、今季の明治安田J1リーグでの3得点もJリーグYBCルヴァンカップでの2得点も、3-4-2-1の2、シャドーと呼ばれるポジションで決めたものだ。

その奥埜は最近、ボランチで出場を続けている。実は2012年のプロ初年度に、初めて公式戦で先発したJリーグヤマザキナビスコカップ(現JリーグYBCルヴァンカップ)第5節広島戦で務めたポジションが、ボランチだった。2013年途中から2014年まで期限付き移籍していた長崎でも、ボランチでプレーしていたことがある。

攻撃的ポジションで出場するときも、一人ですべてを打開するとか、一つだけ突出した武器で突き進むとか、そういうタイプの選手ではない。奥埜は味方との連係の中で、相手の間にポジションを取ってパスを受けたり、飛び出してフィニッシュにつなげたり、という“生かし、生かされる”タイプだ。高い技術と広い視野、そして献身性を、ボランチでも生かすことができる。

今季はまず、ルヴァンカップのグループステージにおいてボランチでプレー経験を積んだ。この時は「前の選手が気持ちよくプレーできるようにしたい」と、パスや後方からの押し上げで攻撃の下支えをすることが主だった。だが、富田晋伍の負傷離脱を受けてリーグ戦でもここで先発出場するようになってからは、一対一の勝負で力強くボールを奪う場面も増えてきた。

ボランチとしての奥埜が収穫も課題も数多く得たのが、前節(J1第29節)の川崎F戦だった。この試合で仙台は相手の陣形に合わせたプレッシングやパスワークのポジションを考え、初期配置を3-5-2に並び替えた。奥埜と野津田岳人、三田啓貴が逆三角形に並び、奥埜は中盤の底を一人でカバーした。

「練習でもやっていたかたちを、試合でうまくはめることができました。こういうシステムに変えても、連係はある程度高まっています」という手応えを得た一方、2点をリードしながら終盤の3失点で逆転負けしたことへの反省もまた大きい。「(点を)取られる前から、押しこまれるときが続いていて、そのときにどういう戦い方をするのか、しっかり意思統一をしなければならなかった」。

試合翌日の15日には、選手だけで話し合う機会が設けられた。それを経て奥埜は「試合では自分たちの流れではない時間帯もありますし、監督からの指示を待つだけでなく、出ている選手が素早く対応できるようにならなければ」と、苦い教訓を今後に生かそうとしている。

「ポジションでいえば、僕やタマ君(三田)は攻守両方に関わるところなので、やり方を周囲に伝える責任は大きいと思います。試合前から映像で確認したり、ゲームの中で起こりうることを想定したり、やれることをやって清水戦に向かいたい」

いい流れは続け、悪い流れになったらしのいで止める。ボランチ・奥埜博亮は貴重な経験を糧に、さらに凄みを増そうとしている。

文:板垣晴朗(仙台担当)


明治安田生命J1リーグ 第30節
10月21日(土)14:00KO ユアスタ
ベガルタ仙台 vs 清水エスパルス