【山形 vs 横浜FC】 ウォーミングアップコラム:富居大樹、耐えてきたからこそ

2017年10月13日(金)


「いつも準備はしてきたつもりなので、そこは特に変わらないです。去年もそうだったので、いつ出てもいいように、そういう準備はしてきたつもりです」
気持ちの高ぶりがないはずはない。しかし、GK富居大樹(写真)はようやく巡ってきた大きなチャンスを前にしても、平常心を保っていた。
「頭をクリーンにして、いろいろ考え過ぎないで、いままでやってきたことをピッチで表現できればいいかなと思います」

2014年後半に群馬の正ゴールキーパーの座をつかみ、15年には40試合に出場したが、16年に山形に移籍して以降は出場機会に恵まれていなかった。山岸範宏と争った昨シーズンのリーグ戦出場は1試合にとどまり、山岸が北九州に移籍した今シーズン、開幕戦からゴールマウスの前に立ってきたのは愛媛から加入した児玉剛だった。

昨シーズンの出場は山岸の出場停止によるもの。自身の好セーブもあり、徳島に2-1と勝利に貢献したが、翌節には再びベンチへ。しかし、今回は状況が違う。チームは9戦勝利なし。「チームに刺激が必要だと思う」。普段からキーパーのプレーにも目を配っていた木山隆之監督は、富居をこう評する。「練習のなかではいいプレーしてると思う。いままでずっとトレーニングを含めてやってきてるのも見てるし、シュートストップがいいのも見てる。足元のプレーも春先よりは良くなっているように思う」

1週間準備をして、出場できなくてもまた次の試合に向けた準備をする。そうした先の見えない繰り返しのなかで、富居を支えてきたものがある。
「群馬のときも試合に出ていて、去年も1試合出て、やっぱり勝ったときのよろこびというのを知ってるから、そのよろこびをまた味わいたいと思ってそれをモチベーションにしながらやってます」

そしてもうひとつ。「自分だけでためこみ過ぎると余計にストレスが溜まっちゃう」という富居の気持ちの切り換え方法は、人に話すことだった。群馬時代から指導を受けている土屋明大GKコーチ、他のコーチングスタッフやメディカルスタッフ。話を聞いてくれる人が周りにはいた。そして練習場を離れても。

「結構、家に帰ってもサッカーの話はするので、話聞いてもらって、という感じですね。妻はサッカーを見るのが好きなので、俺はただ聞いてもらって、『うん、うん』っていう感じで聞いてもらうだけ。家族の存在は大きいです」

ふだんと大きく変わることをするつもりはない。それでも、この一戦の重要性は十分に理解している。
「とりあえず、勝ちたいですね。そこが一番ですね」

シンプルな言葉が、重く響いた。

文:佐藤円(山形担当)


明治安田生命J2リーグ 第37節
10月14日(土)14:00KO NDスタ
モンテディオ山形 vs 横浜FC