【広島 vs 鳥栖】 ウォーミングアップコラム:救世主となるためにやってきたパトリック。破壊力に満ちた突進が広島を押し上げる

2017年7月29日(土)


広島の命運は、パトリック(写真)という生真面目な巨砲に託された。

「広島を救うために、やって来た」

記者会見で力強く語ったストライカーは、加入から約1ヶ月間、黙々と自身を磨き続けた。昨年10月13日、右膝前十字靱帯断裂及び右外側半月板損傷という大怪我を負った後、必死のリハビリを続けて6月17日の対神戸戦で復帰。そのプレーを確認した上で、広島は獲得のオファーを出した。実はその時、彼のもとには既に複数のクラブから獲得の申し入れは来ていたという。広島はやや出遅れた感もあったのだが、パトリックはかつてチャンピオンシップやヤマザキナビスコカップ(現YBCルヴァンカップ)決勝で雌雄を決すべく闘ったかつての「ライバル」チームへの移籍を選択した。
「広島はタイトルをいくつもとってきた素晴らしいクラブ。ここでプレーしたいと考えたんだ。柏好文や佐々木翔ら、甲府で一緒にプレーしていた選手もいるからね」

トレーニングで見せる彼の存在感は圧倒的だ。最初の紅白戦で見せたクロスからの強烈なヘッド。圧巻のミドル。ヨンソン監督に代わった後のフルコートの紅白戦でも青山敏弘のミドルパスに反応して裏をとり、DFを引きつけて柏にボールをつけ、リターンを受けてのクロスでアンデルソン・ロペスのゴールを導いている。単純な高さだけではないところが、パトリックの凄みだ。
「僕が前を向くともう、動き出してくれる」とパッサー・青山敏弘は言う。
「先にアクションを起こしてくれるから、そこにこっちが食らいつくというか、引っ張られるような感覚になる。久しぶりですね、この感じは」
かつて、G大阪や甲府で彼の力が爆発した時も、もちろんクロスからの高さ・強さも凄いが、裏に一気に飛び出していくプレーが目を引いていた。強烈なスピードで一気にゴール前まで走り、決定的なシーンをつくりだす。その迫力によって全体のゾーンが高くなり、ラインを押し上げることもできる。パトリックの存在によってセカンドボールも拾いやすくなり、波状攻撃を仕掛けやすくなることは疑いない。

登録完了までの1ヶ月間、パトリックは足の状態をケアしながら、チームの戦術を理解しようと努力した。ミーティングではヨンソン監督の前に座り、一言も聞き漏らすまいと耳を傾ける。監督だけでなく、柴﨑晃誠やアンデルソン ロペス、他の選手たちとも何度も言葉をかわし、コミュニケーションをとって関係性を構築しようと働きかけた。

「このクラブで成功してやる」
 
そんな意識が、彼の巨体から強く滲み出る。俺にパスを出せ、俺のやりやすいようにやれ。そんな唯我独尊タイプではなく、仲間とのコンビネーションを大切にするからこそ、パトリックは甲府でもG大阪でも、選手やサポーターから愛されたのだろう。

コンディションはまだ70~80%だというが、それでも彼のパワーは広島に必要だ。ヨンソン監督も「彼はストロングマン。力強いし、クロスやセットプレーでも武器になるし、ポゼッションの場面でも(縦パスの)ターゲットにもなりうる」と大きな期待を寄せている。それは、サポーターも同じだろうし、広島に関わる人々全てが、同じ想いだろう。
試合前日のトレーニングでは加藤義明後援会長がチームを激励に訪れ、多くのサポーターが大きな声援を選手たちに注ぎ込んだ。逆転残留に向けて強い気持ちをピッチに集中させようと誰もが全力で闘っている。その中心にいるのはもちろんヨンソン新監督であり、期待が集まるのはやはりストライカー・パトリックだ。
「広島はとてもいいチームだ。明日の試合に勝てば、勢いに乗れるはず。次に繋げたい。そのためには、まずゴールすること。自分はチームメイトから信頼されている。その信頼に応えたい」
背番号39を背負った巨体からエネルギーを発散させて、パトリックは前を向く。彼の力を得て、屈辱的な位置から立ち上がるために、全員で闘う。そんな意志は、確かにサンフレッチェ広島から感じている。

文:中野和也(広島担当)


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