【水戸 vs 町田】 ウォーミングアップコラム:「水戸は僕にとってとても大事なチーム」。ソン・ジュフンの思いがチームにもたらすもの。

2016年6月11日(土)

「ウォーミングアップコラム」は、試合に向けてのワクワク感を高める新企画。ホームクラブの担当ライターが、いろんな視点から、いろんなテイストでみなさんに情報をお届けします!
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目を疑った。
前節横浜FC戦2日前の6月6日の練習にソン・ジュフン(宋株熏)の姿があったのだ。5月31日からU-23韓国代表に合流したソンは6月2日と4日、そして6日に試合を行って水戸に戻ってくるはずだった。8日の横浜FC戦は欠場するものだと思っていた。

しかし、彼は2日と4日の試合にフル出場したものの、6日の試合を欠場して、水戸に戻ってくることを決断したのだ。オリンピック前の大事な時期だけに、試合に出なくても少しでも代表チームにいて、チームメイトとコミュニケーションを深めたかったことだろう。しかし、彼は水戸を選んだのであった。
その理由をこう語った。
「チームと監督が僕を必要としてくれた。だから、早く戻ってこようと思いました」
そして、こう続けた。
「代表チームも大事ですが、所属チームが一番大事です。所属チームで活躍できなければ、代表もないと思っています。なので、水戸は僕にとってとても大事なチームなのです」その言葉に偽りがないことは彼の行動が証明している。

そして、そんな彼の思いがとても嬉しかった。というのも、今季のチームが「求心力」という点で揺らいだ中でスタートを切ったからだ。昨季、序盤から低迷する苦しい戦いが続いた中、選手たちは懸命に戦い抜いて「残留」という結果を勝ち取った。だが、安堵したのも束の間。シーズンが終了すると、チームを支えた主力選手たちの多くがチームを離れていってしまった。残留への喜びから一転、寂しさと悲しさで包み込まれた。

西ヶ谷隆之監督のもと、一体感を持って戦えているからこそ、チームは徐々に調子を上げることができている。しかし、半年前の悲しみはまだ消えてはいない。今でも胸の中に色濃く残っている。だからこそ、今回のソンの言動は、まるで極寒の中で飲む温かいミルクティーのように、体の中にじわりと沁みていくものがあった。

横浜FC戦では、相手の強力なFW陣を完璧に抑えきってみせた。1週間で3試合フル出場というハードスケジュールをこなし、かつ、その間に韓国との往復もあり、コンディション的には厳しかったことだろう。しかし、彼は気力で戦ってくれたのだ。「ありがとう」。横浜FC戦後、普段取材時に口にしないような一言が思わず口から出てしまった。

思いは伝播する。そう信じている。チームに対する思いを、愛情を、すべての選手が見つめ直してプレーで表現してもらいたい。それこそが、大きなものを失ってスタートを切ったチームが浮上していくための大きな力となることだろう。

文:佐藤拓也(水戸担当)


明治安田生命J2リーグ 第18節
6月12日(日)13:00KO Ksスタ
水戸ホーリーホック vs FC町田ゼルビア