【新潟 vs 鳥栖】 ウォーミングアップコラム:あのナンバーを、再び

2016年3月26日(土)

「ウォーミングアップコラム」は、試合に向けてのワクワク感を高める新企画。ホームクラブの担当ライターが、いろんな視点から、いろんなテイストでみなさんに情報をお届けします!
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24日、不世出のフットボーラー、ヨハン・クライフが天に召された。トータルフットボールの体現者であり、監督としてもバルセロナに築いたドリームチームで世界のフットボールシーンを席巻したクライフ。ニュースは瞬く間に世界を駆け巡り、その偉大さを改めて知ることになった。美しく勝つサッカーは、時空を超えて今なお、強烈な影響力を持つ。

それはヨーロッパを遠く離れた日本の、雪国のJクラブ(この原稿を書いている26日午前中の新潟市内も、時折、雪がちらついている。積もりはしないが、本格的な春はもう少し先だ)にも間違いなく伝播している。“クライフの14番”に、独自の背番号物語を読み取ることができるのである。

現在、新潟で14番を着けるのはFW田中達也。在籍3年目となった昨シーズン、9番から変更した。理由は初心に返るためである。浦和でも着けなかった14番は、「帝京高校のドリブラーナンバー」(田中)で、彼にとって特別な番号であり続ける。

ただ、14番越しの田中とクライフとの結びつきは希薄だ。「自分はマラドーナ世代なんで(笑)」。無類のバルサ好きでもある田中だが、クライフの愛弟子ペップ・グアルディオラが作るチームには興味津々でも、90年代のドリームチームは単なるサッカー世界史の一コマのようで、今ひとつピンと来ないという。

新潟で14番のDNAを受け継ぐ者は、田中の前に着けていたMF小塚和季である。1年半期限付き移籍していたレノファ山口から今シーズン復帰した小塚は21歳。何といってもセンスあふれるパスワークが最大の魅力で、帝京長岡高校時代には新潟県勢として28年ぶりとなるベスト8へと母校を導いている。

小塚と14番との出会いは中学時代にさかのぼる。所属した長岡JYFCの西田勝彦監督による指名だった。

帝京高校時代、四日市中央高校と同時優勝となった第70回の高校選手権決勝でもプレーした西田監督は、もともと熱烈なクライフファン。率いるチームのエースナンバーを14番にしたのも、ごく自然な成り行きといえるだろう。

そして、小塚のボールタッチを見た瞬間、ただ者ではないと感じ取った西田監督は、迷わず彼を14番に選んだ。以来、帝京長岡高校、新潟、山口と、小塚は14番を背負い続けてきた。ネットなどを利用し、40年前のプレー映像にも簡単にアクセスできる時代である。小塚もクライフのプレーを、何度も何度も見直した。

サッカーセンスを最大限に発揮して、山口がJFLからJ3、そしてJ3からJ2に昇格する原動力となった小塚は、新潟に戻った今シーズン、41番を着ける。田中が14番を着けていることも理由の一つだが、小塚自身に「自分はまだ、この番号にふさわしい選手じゃない」という思いがある。

「新潟でプロになったときも、よく価値が分からないまま、言われるまま14番を着けていた。もっと成長して、14番にふさわしいプレーヤーになりたい」

ある意味、これまでの小塚は無邪気にその才能をさく裂させるばかりだった。それを考えれば、現在の14番の自覚に、武者修行を通した成長のあとをはっきり感じ取ることができる。

小塚のプレーは見ているだけで楽しい。それも理屈抜きで。若さゆえに、“やらかしてしまう”こともまだある。が、新潟の吉田達磨監督も「可能性を秘めているし、トップレベルに上り詰めるだけのたくさんのものを持っている」と高く評価する。「ただ、まだミスが多い。それも質の青いミスが」という吉田監督のもと、これからその才能はどう磨き上げられていくだろうか。

サッカーの楽しさという根源的なところで、小塚とクライフは結びついている。

「やっている選手が楽しくないと、見ている人も面白くないじゃないですか。楽しませるところを目指したいし、スタジアムに来た人に満足して家に帰ってもらいたい」

ヤマザキナビスコカップのニューヒーロー賞有資格者でもある小塚が、明日の鳥栖戦でピッチに立てば、プロ4年目にしてビッグスワンのデビューとなる。そこは、これからいくつものファインプレーを刻んでいくべきホームグラウンドだ。

文:大中祐二(新潟担当)


ヤマザキナビスコカップ 第2節
3月27日(日)15:00KO デンカS
アルビレックス新潟 vs サガン鳥栖
デンカビッグスワンスタジアム(アルビレックス新潟)
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